中村幸子さん(玉川大学)との共著論文がTESOL Quarterlyに掲載されました。
本研究では、コミュニケーションタスクの前に語彙リストを提供することが、学習者のコロケーション(語と語の自然な組み合わせ)の習得と、タスク中の感情にどのような影響を与えるかを、日本の大学の英語授業で検証しました。
68名の大学生が2つのインフォメーションギャップ・タスクに取り組み、半数には事前に語彙リストを提供し(語彙サポート群)、残りの半数には提供しませんでした(タスクのみ群)。
主な結果は以下の通りです。
【語彙学習への効果】
語彙サポートを受けたグループは、コロケーションの習得量が有意に高いことが示されました。事前に語彙を提示することで学習効果が高まるということで、ここまでは当たり前ですが。。。
【感情への効果】
一方で、語彙サポートなしのグループの方が、タスク中の楽しさ・達成感・パートナーとの協働感が高く、退屈さが低いという結果が得られました。語彙リストがあることで、かえって「自由に英語を使ってやりとりする機会を奪ったり、自分の英語力の不足を意識させてしまった」可能性があります。
【感情と学習の関係】
語彙サポート条件においてのみ、楽しさや協働感の高さと語彙習得量の間に正の相関が見られました。ポジティブな感情が学習を促進する可能性を示唆する結果です。
これらの結果から、タスク前の語彙サポートは語彙学習を促進する一方、学習者のポジティブな感情を抑制する可能性があることが示唆されました。
TBLT(タスクに基づく言語教育)において、語彙サポートは「両刃の剣」となりうるため、認知面での効果と情意面への影響のバランスを考慮した授業設計の重要性を示す研究です。
論文はオープンアクセスで公開されていて、こちらから全文読むことができます。
Suzuki, Y., & Nakamura, S. (2026). Pre-task vocabulary support enhances lexical learning but dampens positive emotions: Interactive task implementation in English-as-a-foreign-language classroom. TESOL Quarterly. https://doi.org/10.1002/tesq.70054

