【論文出版】明示的学習への行動指標に関する研究がSystem誌に掲載されました。

共著論文が System 誌に掲載されました

Papi, M., Suzuki, Y., Kim, C. J., & Kim, M. (2026). Information-seeking behavior in second language acquisition: Conceptualization and operationalization. System, 104147.
https://doi.org/10.1016/j.system.2026.104147

本研究は、Papi and Hiver (2025) の Proactive Language Learning Theory(PLLT)に基づき、「情報探索行動(information-seeking behavior: InfoSB)」という構成概念を初めて正式に操作化したものです。PLLT では、学習者はインプットを受け取って処理する受動的な存在ではなく、インプット、インタラクション、フィードバック、明示的な言語情報を自ら求めていく主体として位置づけられます。InfoSB はその4本柱のひとつであり、自らの第二言語の知識と運用力を高めるために、明示的な言語情報・メタ言語情報を主体的に求め、活用しようとする行動を指します。

明示的指導の効果については膨大な研究の蓄積がありますが、そこでは明示的情報はもっぱら「指導上のリソース」として扱われてきました。学習者がそれを日常的にどう取りにいき、どう使っているのかを測る、理論的裏づけのある行動指標はこれまで存在しませんでした。本研究はその空白を埋めることを目指しています。

とくに示唆的なのは階層的重回帰の結果です。Info-Gathering は学習期間とともに投入した段階では熟達度を有意に予測しましたが、Info-Use をモデルに加えると有意性を失いました。明示的知識を蓄積するだけでは熟達度の分散を説明せず、それをコミュニケーションの中で実際に運用することが効いている、と解釈できます。

私自身はこれまで、宣言的知識が手続き化されていくプロセスを、練習の配列や分散・集中、タスク設計といった指導側の条件から研究してきました。本研究における Info-Gathering と Info-Use の区別は、同じプロセスを学習者の行動傾向の側から捉え直したものだと言えます。

Skill Acquisition Theory の観点からは、Info-Gathering は宣言的知識の能動的な獲得、Info-Use はその知識を実際に使うことで生じる手続き化の行動的な現れと位置づけられます。教室でしばしば観察される「文法も語彙も知っているのに使えない」という知識と技能のギャップは、情報を集める行動と、それを使う行動が学習者の中で必ずしも連動していないことの表れなのかもしれません。今後は、この尺度で測られる個人差が練習の効果をどのように調整するのかを検討していきたいと考えています。

2026年10月30日まで、以下のリンクから全文を無料でお読みいただけます。

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