
このたび、大修館書店『英語教育』2026年6月号の第1特集「コミュニケーションを支える”基礎練習”の力」に、巻頭論考「英語授業に『練習』を位置づける—活動の3類型をもとに」を寄稿させていただきました。
概要
英語授業のなかで行われる活動を、「コミュニケーション」「練習」「演習」の3類型に整理する枠組みを提案しました。
- コミュニケーション:意味のやりとりを目的とした言語活動
- 練習:言語活動を充実させるために、言語材料の定着(自動化)を促す活動
- 演習:個々の単語や文法項目を切り離して扱う問題集などを用いた演習活動
現行の学習指導要領のなかで「練習」は、「機械的な反復にならないように」という注意喚起の文脈のみで語られ、ポジティブな位置づけを与えられてきませんでした。さらに、英語教員のあいだでは「言語活動」と「練習」のイメージにもバラつきがあります(例:音読やリテリングが「言語活動」と見なされている可能性)。
しかし実際の授業を観察すると、目的を持って計画された “いい練習” が随所に存在します。本論考は、この「いい練習」を「コミュニケーション」と「演習」のあいだに明確に位置づけ直すことを提案するものです。
中央教育審議会 外国語WGでの発表との関連
本論考の基本的な枠組みは、2026年2月6日に開催された中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 第8回外国語ワーキンググループでの発表「『活動を通した指導の在り方』について——第二言語習得(SLA)研究の観点から」でも提言として取り上げていただきました。
同発表では、「言語活動」を中心に据える改革の方向性に賛同しつつ、その充実のための「練習」「文法指導」「適切な母語使用」を、学習指導要領のなかにも明確に位置づけることを提案しました。今回の『英語教育』特集は、このうち「練習」の部分を、様々な事例とともに丁寧に掘り下げる場となっています。
▼ WG発表資料(文部科学省サイト・資料2) https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/108/siryo/mext_00008.html
『英語教育』2026年6月号 第1特集
各校種・各実践の論考が並びます。
- 英語授業に「練習」を位置づける:活動の3類型をもとに(鈴木祐一)
- 「練習」を見直してみましょう:「言語活動」を支えるために(阿野幸一先生)
- ふたたび光を!音読活動の喜びと効用(田中敦英先生)
- 4つのステップで行う音読練習のすすめ(小山優子先生)
- YouTube動画教材で定型表現定着を目指す(中村佐知子先生)
- 教室で行うディクテーション活動の「きも」(久保岳夫先生)
- 文構造を意識させる音読活動:SV Chunk Reading(道家真平先生)
- 意味順指導で行う語順感覚の基礎固め(北島翔汰先生)
- 練習と言語活動の接続に「雑談力」を育てるOne Minute Chat(黄 俐嘉先生)
音読、ディクテーション、デジタル教材、意味順、雑談など、多様な実践が集まり、それぞれの目的・タイミング・言語活動との接続方法が語られる、読みごたえのある特集です。ぜひお手に取っていただけたら嬉しいです。

